Chikugo Originalは、福岡県・筑後地域で生まれた「筑後織」や伝統・文化の数々を紹介し、その魅力や最新情報を伝えていくWebサイトです。2018年に織物の伝統産業から生まれたアパレルブランド「シマオリチェック」をはじめ、伝統と現代の両方を取り入れた新たなブランドや、筑後地域の観光の魅力なども更新していきます。ゆくゆくはオンラインショップもオープンし、筑後の歴史と未来を紡いでいきます。
福岡県・筑後地域は、絣をルーツとし、筑後の伝統産業の象徴である先染め織物の産地として発展してまいりました。
その中で1970(昭和45)年に創業したのが「筑後染織協同組合」です。九州で唯一の大型染色加工場として糸染色・先染め織物の樹脂加工・織物後染め加工に携わり、筑後産地の織物の中枢をなしてきた私たちは、おかげさまで創業から半世紀の日々を紡いできました。
永年培われてきた染色技術や加工技術をより一層高め、これから先もお客さまにご満足いただき、信頼される事業を続けていく— これが、100年目に向けて歩む私たちの誓いです。そして、変化の時代に対応するために新しいことへもチャレンジしていきます。
2022年、筑後の織物は「筑後織」へと名称を改め、伝統産業としての新しい一歩を踏み出しました。ここにいたるまでには、たくさんの人が関わってきた“歴史”があります。
「筑後織」の産地である筑後市はもともと久留米絣の生産が盛んで、久留米絣の織元が多く存在していました。「筑後の織物は丈夫な綿織物」という特徴から、明治初期の当地域では農作業用に使用されるなど、久留米絣が日常的にそばにあったのです。ところが生活様式の変化により、製品は次第に売れなくなります。海外から輸入されてくるものと比べると、小幅で織られる久留米絣は価格の面でも効率の面でも圧倒的に不利だったのです。そこで誕生したのが、久留米絣の製造技術をルーツにした、約120~180cmの広幅の織物でした。筑後地域の各織元では、広幅の織物の製造に注力。それぞれの窯で糸の染色をしていましたが、一つ一つの織元単位では窯が小さく、生産が追いつかなくなっていきました。
右肩上がりのニーズに対応するため、大型設備の導入が必要になり、1970(昭和45)年には「筑後染織協同組合」を設立。染め・生地加工を行い、組合に所属する各織元で生地織、縫製と、最終製品にまで仕上げる一貫生産体制が構築されました。そして1973(昭和48)年の冬、小さなブームが訪れます。防寒着として、はんてんがヒットしたのです。伝統技術を生かして作られたそれらは「発色が良く、丈夫で軽い」と注目を集め、ピーク時は1社あたり53万枚(産地としては300万枚)も生産していたといいます。
ところがはんてん以外にも防寒具ができたり、住環境が充実したりといった時代の変化により、再び危機が訪れます。そこで私たちは原点である「綿織物」に立ち返り、カジュアルに着られる普段使いの婦人服を作ることに。この決断が功を奏し、たちまち筑後中の女性たちから愛され、価格の安い偽造品まで出回るほど人気を集めました。そして、これらの製品はいつしか「久留米織」や「久留米縞織」と呼ばれるようになりました。
このように、長い歴史を辿ってきた筑後の織物ですが、最盛期には200近くあった織元は、後継者不足や倒産により年々減っていく一方です。どんなに長く続いてきた文化でも、このままではいずれ消えかねません。
この現状を打破するため、2018年には若い人たちへの認知度を高めるべく「久留米縞織復活プロジェクト」を立ち上げました。初年度は九州産業大学の卒業記念品の名刺入れを作成し、2019年には、香蘭女子短期大学との試作品開発、2020年にはファッションブランド「-by RYOJI OBATA」のデザイナー・RYOJI OBATAさんを監修に迎え、アパレルブランド「シマオリチェック」が誕生。クラウドファンディングサービス「Makuake」で販売し、応援者数111人、購入総額161万円を達成するなど、幸先の良いスタートを切りました。
しかし、プロジェクトが順風満帆に進む中、次第に「なぜ筑後の織物なのに、久留米織と呼ばれているのだろう」という疑問の声が聞こえてくるようになったのです。
しっかりとアイデンティティを確立させ、産地である筑後をもっと表現していくべきではないか— こうした幾度も話し合いを重ね、私たちは新たなステージへと進むことを決めました。それが、「筑後織」への改名、そして「筑後織プロジェクト」の始動です。
2022年、「久留米織」や「久留米縞織」とさまざまな名称を統一して、「筑後織」へと名称を改め、伝統産業としての新しい一歩を踏み出しました。織物の里・筑後の“これから”を、私たちの手で織りあげていきます。
筑後織と認定されるには、
以下のようにいくつかの定義があります。
以上の特徴を持つ筑後織は、綿そのものの優しい風合いを生かした生地が大きな魅力です。
完成品を想定してつくり上げていく、先染め糸の繊細な色と、職人による柄の表現を伝え、
MADE IN JAPANの質の高さ、着心地の良さを多くの方にお楽しみいただければ幸いです。
筑後織の素材は、全アイテム綿100%です。
耐久性は抜群ですが、お手入れのコツを
意識していただけるとより長持ちします。
筑後織のプロジェクトに取り組む筑後染織協同組合と
所属する各企業・織元をご紹介します。